XPPEN Artsit 12 セカンドのレビュー。どんなユーザーのための液タブなのか。Wacom One13、前機種と比較して特徴をレビューする。
XPPEN 液タブ Artist 12 セカンドの特徴|前機種・他メーカーとの比較
特徴をまとめたのがこちら。
Artist 12 セカンドはどんなユーザーのための液タブなのか。
まずディスプレイ11.9インチ、重量880グラムとコンパクトなサイズ感が大きな特徴。さらに2万円台で購入できる液タブは現時点でXPPENではAritst 12シリーズのみ。
まずは小さなディスプレイで、できるだけコストを抑えて安い液タブを試してみたいというユーザーにおすすめ。
Artist 12 セカンドを選ぶべきではないのは、腕から大きく線を引く描画スタイルで、大きなキャンパスで作業したい方。下のレビューでも紹介するけれど11.9インチはかなり小さめだ。
そんな方は液晶15.6インチ、22インチのXPPEN Artist 15.6、Artist 22などを検討すると良い。
前機種 Artist 12(無印)との違い・スペックアップポイント
Artist 12 セカンド となっているように、この製品はXPPEN Artist 12(無印)の後継機。スペックアップしたポイントがこちらだ。
- ディスプレイが大幅スペックアップ
安い液タブの問題点の一つがディスプレイの表示性能が低いこと。色域が狭いことで作品を作り上げて印刷した後に見直すと色味がイメージと全然違うこともあった。Artist 12セカンドは色域が広がり、NTSC72%から90%へアップした。
さらに大きな変化として、フルラミネーションに対応した。ディスプレイフルラミネーションとは、液晶ディスプレイの仕様。液晶ディスプレイとカバーガラスを圧着させたディスプレイのこと。こ
のおかげで、ペン芯の先と描画位置の視差が改善される。液晶とディスプレイガラスの層と層の隙間がなくなるので、直接液晶に触れているような操作感が得られるのだ。
実際に使ってみたけれど確かに視差は感じなかった。液晶が小さいのでディスプレイガラスを薄くできることも視差の改善につながっているようだ。
- 付属ペンが最新型に
ワコム以外の液タブの共通の問題がペン芯の沈み込みの深さ。沈み込みが深いとペン芯がぐらついて、描き味が悪くなる。その原因だったペンのスプリング機構を変更することで、沈み込みが半減(0.6ミリ)に軽減された。
画像右がArtist 12 セカンドに搭載されているペンで、左側は旧型のペンだ。押し込んでいないデフォルトの状態で芯が出ている部分が圧倒的に短くなっている。これでペン先のグラつきも抑えられていて、安定した描き味となっていた。
違いをまとめた表がこちら。上記の他にショートカットキーが2個増えている。
項目 | Artist12 セカンド | Artist 12 (無印) |
---|---|---|
ショートカットキー | 8個 | 6個 |
色域 | 90% NTSC | 72% NTSC |
フルラミネーション | 対応 | なし |
付属ペン | X3 Elite | P06 |
XPPEN Artist 12 セカンドとWacom One 13の比較
他メーカーと競合する製品は、同サイズ帯のワコム社のWacom One 13。
Artist 12 セカンドが差別化しているポイントはやはりコンパクトなサイズ感。
これはメリットにもデメリットにもなり得るポイントだ。作業領域は狭くなるけれど、持ち運びやすさ、デスクに出し入れするときの手軽さは魅力だ。ディスプレイの表示性能に関してはArtist 12 セカンドの方が優れている。Artist 12 セカンドはフルラミネーションに対応しており、色域の広さのスペック数値は高い。
価格ももちろん大きなポイント。Wacom One 13と比較すると1万円以上の差が出ている。XPPENは定期的にセールを開催しているので、時期を選べば1万5千円ほど安く購入できる。手頃な価格帯で液タブ初心者の方に多く選ばれている。
XPPEN Artist 12 セカンドとWacom One 13の違いをまとめた表がこちら。
項目 | XPPEN Artist12 セカンド | ワコム Wacom One 13 |
---|---|---|
価格 | 29,980円 | 42,900円 |
液晶サイズ/解像度 | 11.9インチ/フルHD | 13.3インチ/フルHD |
外径サイズ | 346.2 x 209 x 12 mm | 357 x 225 x 14.6 mm |
重量 | 880グラム | 1000グラム |
ショートカットキー | 8個 | なし |
色域 | 90% NTSC | 72% NTSC |
フルラミネーション | 対応 | なし |
ペン筆圧/傾き検知 | 8192/±60 | 4096/±60 |
XPPEN 液タブレビュー|Artist 12 セカンド
開封しながらレビューで紹介していく。まず梱包箱、梱包内容がこちら。
梱包箱のデザインは時期によって異なる場合もあるようだ。価格帯が安いしそれほど凝った梱包ではなくて必要最低限のシンプルなデザインだ。基本的にパソコンと接続するためのケーブル類などはすべて含まれている。ただUSB-C to Cのケーブルは別売。
液タブ本体のサイズ感・デザイン
本体のサイズ感がこちら。
重量は880グラムは実際持ってみると非常に軽い。ちなみにiPad Pro12.9インチのタブレットで重量682グラムなので、同サイズ帯のタブレットと変わらない重量だ。つまりタブレットを持ち運ぶ感覚で液タブを使えるということだ。
本体の厚みも薄く、周りはゴム素材で保護されている。
ペンタブ本体の四隅のゴム素材は結構厚めなので、少し衝撃が加わっても傷がつくことはなさそうだ。ガシガシ持ち運んで使用できるデザインになっている。
付属ペンのデザイン・使い心地
付属ペンがこちら。
新型のペンで、ペン芯の沈み込みの軽減、反応速度の向上がスペックアップポイント。ペンのデザインはXPPENのプロ向けに搭載されているペンと大きく異なっている。XPPENのプロ向けのペンがこちら。
プロ向けのペンはグリップ部分がゴム素材で太めに設計されている。Artist 12 セカンド搭載のペンは全てがプラスチック素材でツルツルした触り心地。ただしペンの描画性能のスペック数値は同じで、筆圧8192レベル、傾き検知60度に対応している。
Artist 12 セカンドで残念に感じた最大のポイントが付属ペンだ。プロ向けのペンと比べると、どうしても安っぽさは否めない。グリップ部分の素材もプラスチックで汗で滑りやすいし、細いので長時間使用すると疲れやすい。ただプロ向けの液タブとの価格差を考えると納得できる部分でもある。
ペンの描き心地、反応速度
実際に描いてみるとペンの反応速度、筆圧感知のヌルヌル感は他のArtist Proモデルと全く遜色のない描き心地だった。ペン芯の沈み込みが改善されたことも感じられる。実際に描いている様子、ペンの沈み込みの様子はPentabletClub Youtubeチャンネルでそうぞ。
レビューまとめ
XPPEN Artist 12 セカンドはどんなユーザーに向けた製品か
Artist 12セカンドが他シリーズの液タブよりも優れているのは、価格帯が2万円台と手頃なこと。サイズがコンパクトでどんな環境でも対応できること。ペン性能が向上したとはいえプロ向けのペンではないこと。これらを踏まえるとおすすめなのはこんなユーザー。
- 初めて液タブを購入する初心者ユーザー
- 外出先に持ち運んで作業するために液タブを使いたいユーザー
初心者向けではあるけれど、ペン描画性能のスペック値はプロ向けと全く同じ。本体デザインを見ると、四隅がゴム素材で衝撃に強くなっていたりと持ち運んで作業する前提で作られている。家のデスクに固定で使用するのではなくて、外出先でガシガシ使っていただきたい。
こちらはXPPEN公式ストアから購入できる。送料無料だし、公式ストア限定で保証が6ヶ月延長されるので選ばない理由がない。欲しい製品があるかどうかチェックしよう!
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Artsit 12 セカンド スペック表
Artist 12 セカンド | |
---|---|
型番 | CD120FH |
カラー | ブラック、ブルーグリーン、ピンク |
外径サイズ | 346.2 x 209 x 12 mm |
ペン反応範囲 | 263.23 x 148.07 mm |
ショートカットキー | 8個 |
液晶サイズ/解像度 | 11.9インチ/フルHD |
色域 | 90% NTSC, 127% sRGB, 94% Adobe RGB |
フルラミネーション | 対応 |
ペン筆圧/傾き検知 | 8192/±60 |
インターフェイス | USB-C × 2 |