イラストレーターにとって腱鞘炎は最大の悩み。肘や腕が痛くなる前になんとか対処したい。液タブを使うことで腱鞘炎になりやすい原因、それを防ぐための対処法をご紹介する。
液タブでイラストレーターが腱鞘炎になる原因
液タブ独特の姿勢で肘と腕に負担
液タブを使っていると、独特の姿勢で長時間作業することになる。例えばペンタブ(板タブ)を使う場合は、ペンタブレットを平面に設置。手首は曲げず、肘はほぼ90度に保たれる。いわゆる理想的なデスクの前での座り方ができるのだ。
でも液タブは液晶画面を見るために本体を40度ぐらいに角度をつけて使用するのが一般的。そうなると肘は110度くらい閉じることに。肘が曲がった状態で描画すると腕にも手首にも大きな負担がかかり疲れが溜まりやすい。
さらに画面を見るために肩と首に大きな負担がかかることに。イラストをしていると特にだけれど、知らない間に画面と顔の距離が近くなって姿勢が悪くなってしまうのは避けられない。
ペンサイドスイッチの手首への弊害
液タブのペンのグリップ部分にはペンサイドスイッチが2個搭載されている。ペンを握った人足し指でボタンを押せるので直感的に操作できる。
ただ、このサイドスイッチを使おうとしてペンの握り方が変則的になったり、ボタンを押さないように指や手首に変に力が入ってしまうことも。長時間手首に変な力を入れて作業すると負担が大きくなる。
筆圧感知ペンによる腕の疲れ
液タブのペンは、ペン先を画面に押し込む力の強さで線の太さが変わる。太い線を引こうと思うと手首、指にぐっと力を入れて描画する必要がある。
プロのイラストレーターは長時間作業を続けるためにペンを軽く握って筆圧をできるだけ弱くして描くように教えられる。その逆の動作が必要になる液タブは確かに疲れやすい。
細かな描画をするときの手首への負担
これは液タブだから、というわけではないけれど細かな描画をする場面では手首を0.01ミリ単位で動きを制御する必要があるわけなので、当然手首に力が入る。
では液タブ使用時に腱鞘炎にならないようにするにはどうすればいい?対処方法をいくつかご紹介する。
液タブでの腱鞘炎を防ぐ対処法
筆圧感度を調整する
液タブの設定画面で調整できるペン筆圧感度を自分に合った数値に合わせよう。これまで太い線を描くために必要だった力を2、3割弱く設定するだけで指の疲れ方がだいぶん変化する。
ただそうなると細く細かい線を引く時に線が安定しなくなってしまう。練習して慣れていくか下で紹介するペングリップの交換を検討してみては?
ペングリップを交換する
ワコムからは公式でも販売されているけれど、ペングリップ部分にカバーをつけて太くする方法。例えばこんな製品。
これでペンを指全体を使って握り込むことができる。指先だけではなくて、指全体を使って握れるのでグリップする力を弱めてもしっかりとペンの動きを制御できる。
ペングリップカバーの難点はペンサイドスイッチが使えなくなること。でも、腱鞘炎を防ぎたいなら思い切ってペンサイドスイッチを使わない、という選択肢も検討してほしい。その場合は左手デバイスを使ってペンサイドスイッチの代わりに使ってみよう。
左手デバイスを活用する
これまでペンサイドスイッチに割り当てていた機能を、左手デバイスに割り当てて代用することで右手の負担を減らせる。
さらに左手デバイスでキャンパスの拡大、移動をよりスムーズに操作できる。毎回キャンパスを拡大するように習慣づければ細かな部分の描画をする時も手首に余計な力を入れずに描画できる。
最近使ってみてよかったイラスト用左手デバイスがこちらの2機種。
シンプルな機能をお手頃な価格で手にいれたいならXPPEN ACK05がおすすめだ。
ダイヤル式キーが1個、ボタン式が10個とシンプルな構成で片手で握っても使えるのでデスクの幅も取らない。5,000円程度と手頃な価格帯も魅力の一つ。XPPEN ACK05のレビューはこちらから。
ダイヤル式キーが一つでは足りない。値段が高くてもこだわって選びたい方!という方にはTourBox Eliteがおすすめだ。
ダイヤル式キーだけで3種類搭載しており、マクロ機能を含めた設定が可能なカスタマイズ性の高いソフトウェアが特徴。現在販売されているイラスト用の左手デバイスの中で最強の一台だ。TourBox Eliteのレビュはこちらからどうぞ。
他にも候補を見たい方はこちらからおすすめの左手デバイス10選をご覧あれ。
スタンディングデスクで高さを調整
今多くの企業が採用しているスタンディングデスク。長時間同じ姿勢で座って作業していると、首と肩に疲労が溜まり腱鞘炎の原因に。
立って作業することで椎間板にかける負担を減らすこともできるし、腱鞘炎予防のためだけではなく体全体の健康のためにもおすすめ。実際使っているけれど、効率が上がった。。。ような気がする。
実感としては少なくとも眠くはならないし、座って作業していて行き詰まった時に立ち上がって作業すると、気持ちも新たに集中力を回復できている気がする。
自分の場合は高くして立った状態で作業をする時だけではなくて、座って作業するときに通常の机よりも低く設定できることにもメリットを感じている。
液タブをデスクに置いて作業する場合、机の高さ+液タブスタンドの高さ+液タブ本体の高さ、になるので肘の位置がかなり高くなるからだ。液タブで座って作業する場合、机を低めに設定してできるだけ疲れない姿勢で作業できる。
以上イラストレーターの悩みの種である腱鞘炎を防ぐようにできる対処法をご紹介した。イラスト環境がより良いものになれば何よりだ。