ワコムから初心者向けの16インチ液タブ、Wacom Cintiq 16が発売されるので価格とスペックを徹底検証。価格7万円と初心者向けの液タブだがワコム最高レベルの描き味を保っている大注目の一台だ。スペックを他メーカーのHUIONやXP-PENと比較して検証。
ワコムの初心者向け液タブ Cintiq 16 発売日・価格
遂に!やっと!ワコムから初心者向けの液タブが発売される。まずは一番の注目ポイントである価格と発売日から。
- 発売日:2019年1月11日
- 価格:73,224円(税込)
価格が7万円台と初心者の方も検討できるレベルの液タブが遂に発売開始だ。これまで発売されたCintiq Pro16の価格は18万円とはじめての方にとっては高すぎるハードルだった。初心者の液タブ購入はXP-PENやHUIONに流れていたが遂にワコムもこの市場に参入だ。
Cintiq Pro16インチと比較すると価格が10万円も下がっているので心配になるのが製品のスペック。初心者向けといっても時代遅れのスペックの製品は使いたくない。ということでスペックを徹底検証。先に結論から言うと、描画能力は最高レベルを保ちながら液晶ディスプレイのスペックを下げており、初心者にとっては納得のいくトレードオフとなっている。
ワコムCintiq 16(DTK1660K)のスペック
最高レベルの描画能力|Pro Pen 2 最高レベルの実力
読取方式 | 電磁誘導方式 |
読取分解能 | 最高0.005mm |
読取可能高さ | 5mm |
傾き検出レベル | ±60レベル |
筆圧レベル | 8192レベル |
まず注目するのは描画能力。ペン描画能力の一番の指標となっているのが筆圧レベルだ。Cintiq 16に搭載されているのはワコムの最高位スペックの液タブと全く同じWacom Pro Pen2となっている。筆圧レベル、傾き検出レベル共に最高スペックなので描き味の良さは間違いない。
ワコム同サイズの最高スペックCintiq Pro16と同じレベルの描画能力を保っているのは驚きだ。ちなみに今回のCintiq16はペンでのみ操作が可能でタッチには対応していない。
15.6インチディスプレイ|視差、解像度はそれなり
表示サイズ / アスペクト比 | 15.6型 / 16:9 |
最大表示解像度 | フルHD (1920 x 1080ドット) |
液晶方式 | IPS方式 |
画素ピッチ | 0.17925 x 0.17925mm |
最大表示色 | 1677万色 |
応答速度 | 25ms (標準値) |
最大輝度 | 210 cd/m2 |
コントラスト比 | 1000:1 (標準値) / 600:1(最小値) |
視野角 | 水平176°/垂直176°(標準値)、140°/140°(最小値) |
色域 | 72% NTSC (CIE1931) typical |
ディスプレイ表示能力は18万円のCintiq Pro16と7万円のCintiq 16の価格差の一番の理由だ。解像度が4KからフルHDとなり、色域も72%NTSCとそれなりなレベル。ではこれは全く使えないレベルのディスプレイ?決してそうではない。フルHDはワコム以外の液タブではまだまだ主流のスペックだ。
ただ一点気になるのが視差を軽減するダイレクトボンディング技術を採用していないということだ。この技術はディスプレイガラスと液晶ををダイレクトに重ねる仕様でペン先と描画位置の縦の視差が少なくできる。その代わり発熱しやすくなるので技術的には難しい。
今回のCintiq16はダイレクトボンディング技術を採用していない。つまり表面のディスプレイガラスと表示する液晶の間に層ができるので縦の視差が大きくなる。現時点でワコム以外の液タブでこの技術を採用できているのはHUIONのKamvas Pro 13のみだ。(今後XP-PENも採用していくと思われる)
またディスプレイはアンチグレアパネルなので余計な反射をしないよう抑えられているのもポイント。
洗練されたデザインはそのまま
本体のデザインは他ワコム製品と同じくシンプル。本体の外形サイズは422×285×24.5mm。重量19kg。19度に傾斜をつけられるスタンドが内蔵されている。またペンを本体サイドに固定するためのアイテムも付属している。
接続はワコム定番の3in1ケーブルとなっている。本体上部のカバーの中に接続部分を収納できるのでうっかり引き抜いてしまう心配がない。これまでは本体のサイドに直差しだったので不安定だったがこの点も改善されている。
Wacom Cintiq16 は買い?まとめ
Cintiq16の注目スペックをまとめてご紹介した。18万円するProモデルから10万円も価格が低いがその理由は、
- 液晶解像度、表示色域のスペックが低い
- 若干の視差を生むダイレクトボンディング技術の不採用
- タッチ機能不対応
価格帯を下げたトレードオフとしてこれらがあげられる。ただ解像度や表示色域に関しては同価格帯の液タブ比べても遜色なく、十分使えるレベルだということを付け加えておきたい。
一方でワコム最高レベルのスペックを保っているのは、
- Pro Pen2の筆圧8192レベル
- 傾き検出 ±60レベル
- 理屈抜きの最高の描き味
最後の描き味に関しては理屈抜きという表現となってしまった。ディスプレイ表面とペン先の素材、ペン先の沈み込み具合、最高の応答速度を生むソフト面などワコムが長年かけて培った技術の結晶の賜物だ。Wacom Pro Pen2が使えるのは非常に大きなポイント。長年プロに愛用され続けているワコムペンタブの最高レベルの描き味を体験できる。
初めての液タブを購入する方も、旧型の13インチCintiqを使ってきた方も手に取って後悔することはない仕様数値となっている。しかも価格が7万円台というワコム史上最安の設定。現在ワコムストア、Amazonで販売されているのでぜひチェックしていただきたい。
- 発売日:2019年1月11日
- 価格:73,224円(税込)
ワコム Cintiq16とXP-PEN Artist16 Proを比較
最後に同サイズ他メーカーの液タブと比較してみよう。比較対象はXP-PEN Artist16Proだ。XP-PENは海外のペンタブ・液タブメーカーだが日本に代理店があったりと多くの日本のユーザーに選ばれているメーカーだ。実機レビューしているのでご覧いただきたい。
価格|XP-PENが3万円安い
- 価格:Cintiq 73,224円
- XP-PEN 39,199円
ワコムCintiq16は7万円台でワコムにしては安いとはいえ比較すると高い。XP-PEN Artist16Proは3万円以上安く購入できる。
ペン描画能力
- ワコム:筆圧8192、傾き検知あり
- XP-PEN:筆圧8192、傾き検知なし
ペン描画能力で大きく異なるのが傾き検知の有無。ペン追従性能はやはりワコムが優秀。
ディスプレイ性能
- ワコム:解像度フルHD、色域72%
- XP-PEN:解像度フルHD、色域92%
ディスプレイ色域に関しては仕様数値上はXP-PEN ArtistPro16が上となっている。XP-PENの液タブモデルの中で一番性能の高いディスプレイを搭載している。ダイレクトボンディング技術は両方とも採用しておらず視差に関しては大差なさそうだ。
ちなみにとにかく視差の少なくて価格帯の引く液タブをお探しの方にはHUIONのKamvas Pro 13がおすすめだ。こちらで実機レビューしているのでご覧あれ。