ワコム液タブのCintiq Pro 16を開封、接続して描きだすまでのレビュー。解像度4K、筆圧8192レベルと最高スペックだが実際の描き味はどうか検証。ワコム16インチ液タブが買いかどうかを検証する。ワコムさんへ実機をお貸いただいてのレビュー記事。
ワコム16インチ液タブCintiq Pro 16(DTH-1620)
ワコムから2017年4月に発売開始された16インチ液晶ペンタブレット。これまでワコムの液タブは13インチ、22インチ、27インチのラインナップだった。こちらの16インチはB5サイズのキャンパスがそのまま表示できるサイズとなりこの3インチのサイズアップを待っていたユーザーも多かった。
そして解像度が最高で4K表示可能、筆圧が8192レベルまで進歩と、仕様数値も現時点で最高スペック。プロの方或いは本格的にデジタルペイントを始めたいなら手に入れたいプロ仕様液タブだ。気になるのは価格だが、現在のAmazonでの最安値がこちら。
[amazonjs asin="B06XWMBNBP" locale="JP" title="【Amazon.co.jp限定】ワコム 液晶ペンタブレット15.6型 Wacom Cintiq Pro 16 オリジナルデータ特典付き TDTH-1620/K0"]
ちなみにワコムストアよりも数万円安くなっているが保証に関しては全く同じ。1年間のメーカー無償保証だ。
ワコム液タブ Cintiq Pro 16 開封レビュー
今回株式会社ワコムさんより実機を貸し出していただけた。実際に開封して使いだすまでをレビューでご紹介。間で気になる仕様数値もチェックしていこう。
Cintiq Pro 16インチ梱包箱
梱包箱のデザインはなかなかかわいくて好印象。16インチの横にペンとケーブルが梱包されているので横に長めになっている。最高スペックだけあって梱包箱もしっかりとしておりスタイリッシュ。箱を開けるとまず16インチ液晶が梱包されている。梱包物がこちらだ。
Cintiq Pro 16 オプション、梱包物
Wacom Cintiq Pro 16本体、Wacom Pro Pen 2、ペンスタンド(通常芯6本、フェルト芯4本、芯抜き)、カラーリング、 ペンホルダー、ACアダプタ、電源ケーブル、Wacom Link (USB, Mini-DisplayPort-USB Type-C変換コネクタ)、Mini DisplayPortケーブル、USB type-Cケーブル、 USBケーブル、クイックスタートガイド、保証書、レギュレーションシート、クリーニングクロス
梱包されているオプション品の詳細、注目ポイントをチェックしていこう。
Wacom Pro Pen 2
ペン入力 | 読取方式 | 電磁誘導方式 |
読取分解能 | 最高0.005mm | |
読取可能高さ | 5mm | |
傾き検出レベル | ±60レベル | |
筆圧レベル | 8192レベル |
まず注目なのはワコムから出されているNEW PEN。Wacom Pro Pen 2だ。大きな進歩点は筆圧レベルがこれまでの2048レベルの4倍、8192レベルになっていることだ。この進歩により自然な描き味を実現している。その他の使用上の数値は前機種Pro Penと同等。ペン先、ペン立ての画像がこちら。
ペン芯の細さは約1mm。ペン先の沈み込みも前機種よりも浅い。そして前機種のProPenでペン芯が液晶に接触すると若干左右にぶれる感覚があった。ペン芯に少し遊びの部分があったのだが、今回のProPen2ではその遊びの部分がなくなっている。ペン芯がカタカタと横に揺れる症状が大幅に軽減されている。
他に梱包されているペン関係のオプションがこちら。
ペン立ては高さ2cm、直径7cmだ。ペン立てを開けると中にペン替え芯が内蔵されている。ペン立ての溝が若干浅めなのでペンを横にして置くには丁寧に設置する必要があるのが若干残念。デザインは非常にスタイリッシュだ。ペンリングもこれまでのPro Penと同じく変更可能となっている。
Wacom Link
オプション品のもう一つのポイントがワコムリンク。というのも接続インターフェイスがUSB TYPE-Cのみだからだ。現時点でUSB TYPE-Cを搭載しているパソコンをお持ちの方はあまり多くないはず。そんなユーザーの接続のためにあらかじめ変換ポートWacom Linkが付属している。サイズは画像の通り非常にコンパクトで軽い。接続方法を図にするとこうなる。
パソコンへのUSBポートと、映像ポートmini DisplayPortへ接続できるわけだ。接続ポートがUSB TYPE-CのみというMac BookProに倣った尖った仕様だが、変換ポートWacom Linkで解決できるのはありがたい。
とはいいつつMacユーザー以外にとっては面倒でしかない仕様。もし本体にmini DisplayPortが一個でもついていればなんの問題もなかった気もする。ただデジタルガジェットの移り変わりは早いのであっという間にUSB TYPE-Cが主流になっていくのだろう。
Cintiq Pro 16 本体
外形寸法(W×D×H) | 410 x 265 x 17.5 mm | |
質量 | 1.5 kg |
重量は1.5kg。持ってみると16インチサイズの大きさに対して軽く感じる。ケーブル類を考えると持ち運ぶ機会はないかと思うが十分持ち運べる重量だ。
液晶表面はボタン類が一切廃止されフルフラットデザイン。上部右側にボタンではなくタッチ式のファンクションキーがある。電源OFFの際はそちらも表示されない。画面右側が本体裏側。中央上部が排熱部分だ。裏側の中央にへこみが2か所あるが、こちらに別売のスタンドを装着できる。ただ本体にもスタンドが装着されている。
角度は画像のように裏側のスタンド足を立てた20度、スタンドを収納した場合の5度の二種類。ちなみに右側が本体の右上部だが電源ボタンが装着されている。本体17.5mmの薄さでかなりスマート。
Cintiq Pro 16実機レビュー|実際の描画をチェック
実際にセットアップして描画してみたので描き心地などをレビューしていく。
USB TYPE-Cでの接続
接続したパソコンはMacBookProのUSB TYPE-Cが搭載されているタイプだ。ということで接続は非常にシンプルでCintiq Pro 16とMacBookProをUSB TYPE-Cで接続するだけ。注意点としては4K表示のためにはCintiq Pro 16側は左上の端子に接続する必要があるということくらいだ。
接続部分がこちら。(画像左側)ケーブルの設計上接続時は飛び出るようになっているのが若干残念。ケーブルが宙に浮いた状態で使用は少し不安だ。描画中にうっかり接続部分に腕が接触して折れそう。ちなみに右側はIntuos Proの接続部分。こんな風にケーブルを横にではなく縦にさばける設計だと良かったのだが。
内蔵されているスタンドも上部の写真に写っているが。造りはかなりしっかりとして安定している。角度もユーザーの好みにはなるが個人的には机の上に置いてスタンドを立てての20度がちょうどよい傾斜だった。ちなみにスタンドは別売で販売している。
Cintiq Pro の新サイズ16インチのサイズ感
実際に扱ってみるとサイズ感も良い。ユーザーの用途によってどのくらいのサイズがベストかは変わってくるが、これまでのCintiqのラインナップが、13インチ→22インチ→27インチだっただけに、ちょうど間のサイズの16インチがベストなユーザーも多そうだ。
わたしも実際に22インチの液タブを使用しているが、正直でかすぎて持て余し気味。結局実際に使っている範囲は22インチの3分の2くらいの気がするので16インチで十分だと感じる。
視差のチェック|ペンの正確さ4倍に向上
描画能力でまず気になるのはペン先と描画位置の視差。液タブはどうしてもペン先と描画位置の間に液晶ガラスが挟まるようになるので若干の視差は避けられないのが現状だ。ただ今回のCintiq Pro 16は視差が大幅に改善されているというレビューが多い。メーカーとしても4倍に向上とのこと。実際使用しての画像がこちら。
画面中央で視差がないのはこれまでの製品でも実現できていたが画面の端によると視差が広くなっていた。画面のそれぞれの端の部分でのずれを見てみよう。
画面左上での視差チェック
画面右上での視差チェック
ご覧のように画面端の部分でも視差はかなり改善されている。大型の22インチや27インチと比較すると雲泥の差。さすがの新製品だけあり視差の軽減は肌で感じることができた。画面中央部ではもちろん視差はほぼなし。これはイイぞ!
液晶パネルの仕様数値がこちらだ。
液晶パネル | 表示サイズ/ アスペクト比 | 15.6型 / 16:9 |
最大表示解像度 | 4K(3840 x 2160ドット) | |
液晶方式 | IPS方式 | |
画素ピッチ | 0.090 x 0.090mm | |
最大表示色 | 1677万色 | |
最大輝度 | 250cd/m2 | |
コントラスト比 | 1000:1 | |
視野角 | 水平176°/垂直176° | |
色域 | Adobe RGBカバー率 約94% (CIE1976) |
実際に描いてみての動画
実際に描いてみての動画がこちら。ペンの追従性を見てみる。
【ワコム液タブCintiq Pro 16開封レビュー】ワコムさんにお借りしての実機検証
仕様数値では表せない進歩を実感
上質な描き心地
描画時ペン先がカチカチ音がせず、より紙の質感に近づいている
詳細➡https://t.co/YVlotp62ZB#ワコム#Cintiqpro pic.twitter.com/E49nl9C46D— Pentablet Club (@PentabletClub) 2017年7月3日
反応速度は申し分ない。これまで他海外メーカーのものも使用してきたが、反応速度、安定感に関してはワコムが一歩抜きんでいている印象だ。もちろんその分価格も一歩抜きんでているわけだがプロ向けの製品としてのニーズには答えている。
描き心地|程よい摩擦係数で上質
描き心地は上質。ペン芯の素材によるものと思われるが、液タブとペン芯が触れた時の感触が非常に良い。液晶の素材はガラスなので、ペン芯と触れた時にカチカチという音がするのが普通。一昔前の携帯電話に付属していた細いスタイラスペンで画面に触れた時と同じ感覚だ。
ただCintiq Pro 16はカチカチという感触はなく、トントンという感覚。伝わりにくいかもしれないが、要は実際にペンで紙に描いている感覚に近づいたということだ。硬いもの同士がぶつかった時の感覚がなくなり、ペン先が液晶に触れた瞬間の馴染みが良い。描いていて心地よい感触だった。
Cintiq Pro 16は買いか
実際に開封、使用してみての評価を考えてみる。ワコムから数年ぶりに発売される新液晶ペンタブレットだけに期待値は高かった。前機種のCintiq13インチと比較して仕様上の大きな進歩点がこちら。
- プロペン2 筆圧が4倍の8192レベルへ。
- 液晶サイズが16インチへサイズアップ。
- 表示可能解像度が4Kへアップ。
現時点で仕様数値では間違いなく随一の最高スペック。そして実際に使ってみると仕様数値では表せない描き心地の良さも実感できた。特に描き心地は前機種に比べて格段に良くなっている。プロの方や本格的にデジタルペイントを始めたい方なら是非手に入れておきたい液タブだ。
Cintiq Pro 16のスペック比較対象
比較対象は他海外メーカーの16インチの液タブではない。同じ液タブだがそもそも価格帯も全然異なるし、対象としているユーザー層も違う。Cintiq Proはその名の通りプロ向けの液タブ。
なので比較対象はワコムのCintiq Pro 13インチになるだろう。
Cintiq Pro 13 | Cintiq Pro 16 | |
液晶サイズ | 13.3インチ | 16インチ |
解像度 | フルHD1920*1080 | 4K 3840*2160 |
最大表示色 | 1677万色 | 1677万色 |
ペン筆圧 | 8192レベル | 8192レベル |
インターフェイス | USB TYPE-C | USB TYPE-C |
価格 | 138,240円 | 181,440円 |
その差は液晶サイズと表示可能解像度、そして価格だ。シンプルに考えて液晶はやはり大きい方が作業効率は上がる。解像度が4K表示可能だということも大きなポイント。(4K表示可能な環境はこちらで取り上げている。)
ネックは価格差だがその差は4万3千円。この価格さで得られるメリットは上記のポイントだということを踏まえて選べばベストな選択ができそうだ。
上記表の価格はワコムストアの価格。現在のAmazon、楽天での最安値はこちらでご覧いただける。価格はAmazonなどの方が数千円安い。そして保証も正規ワコムストアと全く同じの1年間無償メーカー保証だ。
Cintiq Pro 16インチ最安値情報
Cintiq Pro 13インチ最安値情報
現時点で16インチサイズで最高スペックのプロ向け液晶ペンタブレット、Cintiq Pro 16。プロの方、本格的にデジタルペイントを楽しみたい方に強くおすすめできる製品だ。